IPRCの具体的な目標および研究戦略については 研究計画(英語版)をご覧ください。年次報告書、半期ごとの英語ニュースレター IPRC Climate では、最新の目立った研究成果を紹介しています。所属する研究者による研究業績リストは、こちらをご覧ください。
また主要支援機関である、海洋研究開発機構、NASA、NOAAに関連する成果を四半期ごとにまとめ、こちらに掲載しています。
IPRCが取り組んでいる研究分野は、以下のとおりです。
アジア・太平洋地域の気候を理解し予測する上で、それを取り囲む太平洋・インド洋の状態が如何に変化するか、またこれらの変動が如何に大気と相互作用するかを理解することが不可欠です。本研究分野においては、気候系における海洋の役割、特に太平洋・インド洋の役割を明らかにするため、研究に取り組んでいます。また、海洋循環・大気海洋相互作用・気候変動モード・気候変化についての基礎的理解を深めるために、最先端の観測網から得られたデータを解析し、更に、単純な数理モデルから高解像度大気海洋結合モデルに至るまで様々な階層のモデルを利用しています。
社会に大きな影響を与える大気現象の多くは、熱帯低気圧や集中豪雨のようなメソスケールの「顕著現象」です。この研究分野では、特定地域における気候の状態と変動について理解を深め、総観規模現象や気候現象に対する小規模または局地的な海洋・大気・陸面過程の影響を究明し、そのような現象の、領域モデル・全球気候モデルによる再現性を改良するために、それに必要な課題を抽出し研究計画を策定することを目的としています。
モンスーン系は複雑な大気・海洋・陸面・雪氷相互作用を伴います。正確なモンスーン予測は、人命や財産を守り、持続的な経済成長を確保し、予想される気候変化に適応する上で非常に重要であるため、社会からの要請が高まっています。本研究分野では、モンスーンの変化の中長期予報システムを評価し改良することを目指します。また、アジア・オーストラリアモンスーンの研究で得られた知見を、全球モンスーン循環に関わる問題点を理解するために応用しています。
過去の気候から将来の気候変化を理解する重要な手がかりを得られる可能性があります。この研究分野では、古気候データや氷床気候結合モデルを用いて、代表的な氷床の安定性を評価すること、海洋子午面循環の変化が気候や生物地球化学循環に及ぼす影響を特定すること、氷期・間氷期サイクルと数千年スケールで氷河期に起こっていた気候変動の機構を明らかにすること、そして過去と将来の気候条件下における気候と炭素循環の相互作用の理解を深めることを目的に研究活動を実施しています。
近年の国際観測プログラムの成果として、また、衛星技術とモデル性能の向上により、アジア・太平洋地域の気候研究に利用できる観測データやモデルデータが過去10年で急増しました。しかしながら、そのようなデータが、研究者や一般の利用者に充分に活用されているとは言えません。求めるデータが見つけにくく、入手・閲覧が簡単でないためです。アジア太平洋データ研究センター(APDRC)はこの問題を解決するために設立されました。
APDRCは、ウェブ上のデータ集積システムを運用し発展させること、気候関連の全球データベースを管理し提供すること、研究と応用のために新たな気候関連プロダクトを開発し提供することを目的として活動しています。
APDRCの使命「アジア・太平洋域の気候変動の理解を深めるため、研究者やその他の利用者がアクセスしやすく使いやすいデータ資源を構築するのに必要な計算機・データ管理・ネットワークの基盤を整え、データ処理とデータプロダクトに関する知識を向上させ改善するため、データを集中的に利用する研究活動を実施する」